#120 村上春樹本で解消する運動不足。

そして、しいたけ.占い詩歌説。
Akane 2023.07.16
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7月も半ばを過ぎましたが、いかがお過ごしでしょうか?

最近は、ふるさと納税で徳島からとうもろこしを送ってもらったり、両親が旅先の沖縄からマンゴーを送ってきてくれて、一気に夏!な気分になっています。

お料理好きなお友達が「農家さんたちの工夫で年中色々な野菜や果物が買えるのはありがたいけれど、やっぱり季節のものは格別だよ!」と話してくれてから、季節の食べ物が気になるようになりました。料理は得意じゃないので、基本的に素材の味を楽しむ系統ですが、やっぱり美味しいですよね🌽

「それは、それはおいしいマンゴー」って名付けも良くないですか?☺️

「それは、それはおいしいマンゴー」って名付けも良くないですか?☺️

あと、お取り寄せの野菜や果物とかって、量もまとまっていたりするから、自然とお裾分けの流れになって、そこでまた交流が生まれたりするので、そういうところもセットで楽しいです。

このマンゴーをお世話になっている先生に持って行ったら喜んでくれて、数時間後、カヌレになって返ってきました。お裾分けのつもりが思わぬ物々交換に✌️

***

村上春樹の本で解消する運動不足

最近はエッセイや詩歌を読む時間が増えました。

ちょっと仕事に心身を取られているせいか、頭で読まなくていい本を求めている時期なのかもしれません。

ということで、最近読んでいたのが、図書館で見つけた『走ることについて語るときに僕の語ること』という村上春樹さんのエッセイ。

村上春樹さん作品はだいぶ久しぶりなのですが(1Q84のハードカバーがまだ積読...)、かれこれ10年以上前に文庫化されたこの本を、今になって持ち出してきたのには理由があるのです。


それは...「運動不足」!


フリーランス・パソコン仕事・リモートワークという仕事スタイルに面倒くさがりの性格が加わると、何かの約束がなければ、それはもう椅子の上から動かなくて動かなくて...

少し前まではジムで定期的に走っていたのですが、夏になるにつれて暑い中、外に出たくなくなりジムからも足が遠ざかりまして。

そして、しっかりと想像通り運動不足になりました🥲


そんな訳で、手にしたのがこの本だったのです。

なんとなく、小説家とランナーってちょっと遠いところにありそうですが、村上春樹さんは世界各地でフルマラソンやトライアスロンレースに出るほどのランナー。

今から40年前、ジャズ喫茶を経営しながら "書く行為を楽しむために書いた" デビュー作『風の歌を聴け』や2作目の『1973年のピンボール』から、"もっと柄の大きな奥行きのある小説を書きたい" と思って『羊をめぐる冒険』を書くべく専業作家になったものの、

まず、直面した深刻な問題は、体調の維持だった。

のだそう。


喫茶店では、なんだかんだ重いものを運んだり、接客したり、店の中で動き回ることが多かったけれど、作家になったら動かない。

専業作家として「長く小説家でいるために、健やかでいる」ということを決めた村上さんは、「走る」ことをきっかけに「早寝早起き」や「禁煙」などがどんどん進んでいきます。(ちなみに、 "みんなにいい顔はできない" と人間関係の断捨離的なこともここで進んでいく)

ここで面白いな、と思うのが、「走ることによって健やかな暮らしを手に入れた」と、その素晴らしさを村上春樹さんの筆力で魅せる一方で、「僕はランニングをまわりの誰かに勧めたことは一度もない」と書かれていたことでした。

走ることについて語るときに僕の語ることを読んで、「ちょっと走ってみようか」と思って楽しめた人がいたらそれは麗しい展開ではあるが、結局は「向き不向き」だと言っています。「意志じゃなくて、苦なくできることか」とも。

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ここのところまで来て、なるほど、だからタイトルはあくまで「語ること」なのかもしれないと思い至りました。(本によって人を変えることを前提としていない)

この辺りが「走ることについて書かれた実用書」と「走ることについて書かれたエッセイ」との違いともいえそうです。


印象的だったのは、「作家=少し退廃的でないと面白いものを描けないのでは?」と言ってくる人たちに対して、「それは否定しないが、息の長い作家であるためには、その退廃的な毒素に対抗できるくらいの健全な肉体が必要」、「真に不健康なものを扱うためには、人はできるだけ健康でなくてはならない」と書かれていたことです。


この本を読んでいて気づくのは、「自分の信念があると強い(周りの言葉に揺れない)」ということで、「走る気持ちを盛り上がらせたい」と思って手に取ったけれど、想定外に深く考えさせられることになったのでした。

ちなみに、村上春樹さんの小説の文体は少し独特で得意じゃないのだよね...という方がいるかもしれませんが、エッセイは語り口が全く異なりスッと入ってきやすいのでオススメです✌️(私は旅行記系も結構好きです。『遠い太鼓』とか『辺境・近境』とか)

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しいたけ.占いは詩歌なのではないか説。

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