#203 読まない理由がなくなってしまった本。

その本を買うまでの話。(気になったら一緒に読みたい)
Akane 2025.03.09
読者限定

週末は寒かったですね。私の住む東京でも雪予報でした。外出中はギリギリ雨でしたが、春とは思えない防寒スタイルでお出かけしました⛄️

どこへ出かけていたかというと、「梅屋敷ブックフェスタ」という私がよく訪れる本屋さんが主催している本のイベントです。本屋さん、出版社さん、一箱本棚の店主さん、クリエイターさんらが2日に渡り合計19店出店していて、なかなか見かけない本との出会いによりついお財布の紐がゆるむ...私は元々お取り寄せをしてもらっていた本を含めて7冊ゲットしました〜!

この中で、なんとなく私が普段紹介している本のタイトルとはちょっと遠そうなのがあるとしたら、下段の真ん中にある『ヤンキーと地元』ではないかと思います。この本を買うに至るまでには、ちょっとした経緯がありました。

きっかけはSNSで、私がよく読みたいなと思う本を載せている方が投稿されていたのが流れてきたことでした。この『ヤンキーと地元』というタイトルはその人もあんまり読んでいなさそうに感じて、不思議に思ったんです。何の本なんだろう、と。

どんな本かと調べてみると、沖縄の暴走族・ヤンキーの若者の参与観察とインタビュー調査を続けてきた社会学者の打越正行さんが、舎弟的なポジションで暴走族の中に入り込んでいって集めた調査結果を一冊の本にまとめたものでした。(「参与観察」とは調査者が調査対象の集団やコミュニティに直接参加して、その行動や文化、相互作用を観察する調査手法です)

『ヤンキーと地元』を執筆するにあたり、打越さんは執筆に専念するためにクラウドファンディングを行っていました。書くための時間を捻出する金銭的なサポートが必要だったのです。

沖縄の調査といえば、『断片的なものの社会学』などで知られる社会学者の岸雅彦さん、『海をあげる』などで知られる教育学者の上間陽子さんなどがいらっしゃいます。そうした先輩方の支えもあってクラウドファンディングは成功し、無事に2019年に単行本化され、沖縄書店大賞を受賞しました。

岸さんや上間さんの本はこのレターでも紹介しているくらい興味を持って読んでいたので、この時点で「多分買うなあ」となんとなく思いながら打越さんのことを調べていました。

しかし調べを進めるとすぐに、2024年12月9日に打越さんは急性骨髄性白血病で急逝したことを知ります。今日からちょうど3ヶ月前、そして『ヤンキーと地元』が文庫化された1ヶ月後でした。

調査を支えてきた上間さんは、版元のちくま筑摩書房のメディアで追悼文を残していました。これを読むと、打越さんがどんな方だったのか浮かび上がってきます。

岸政彦さんの文章指導を10時間も12時間も受けることは、ありえないことだと思います。でも岸さんは、「天才を助けるのは当たり前だ」と言い切っていて、打越くんもまた平気な顔をしていました。 ほんとに打越くんには、そういうところがありました。それぞれが持てる力を出して、みんなで力を合わせればいいんだというような。世界は美しくおもしろいのだから、それを発見して、それをどう伝えるかは、みんなが自分の持っているものを持ち合って総力戦でやればいいというような。
打越くんのバカ話 抜粋

↑ぜひ読んでもらいたい文章です


ここまできたら、私には読まない理由なんて何もなくなっていました。ちょっと遠そうに感じていた『ヤンキーと地元』というタイトルすらも、すぐそこにあったようにも感じて、近いうちに私はこの本を家でも外で持ち歩いても時間があれば開いて読んでいるであろうと思います。

***

さて、話は変わりまして、3月というのは、区切りの時期でもあります。日本の多くの会社でも「年度」というと3月ですよね。そうして新しい時期に向けて、人や役割が変わったり、終わりの振り返りと次の目標と定めたり、となかなか忙しい時期です。

フリーランスとなった私にはもう「昇進」とか「異動」みたいなものはなくなってしまったけれど、ふとこの時期になると思い出すのが、会社員時代にお世話になった人の言っていた「リーダーはちょっとさみしい」という話。

私は業務委託という形態で仕事をすることが多く「会社の中の人」ではないので、逆にいい意味で「他人」ということから本音をこぼしてもらえることがあります。(ご本人は意識してないかもしれない)

それに対して、私は何を言うでもなくただ聞くだけだけれど、案外そういった場面に遭遇することは少なくないような気がします。多分、ちょっとだけみんな孤独なのだと思うのです。

なんでこんな話をしたかというと、今週読んでいた時代ミステリー小説に、それを思い出すような場面に出会ったから。読み終わって、私が読んでいたのは果たしてミステリー小説だったのかな?という気分です。

その本は、こちら。

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