#46 本のお告げ。

動いてみたら、思ってもみないことが起きるかもしない。
【目次】
・名画座に行くがよい/キネマの神様
・キューバに行くがよい/表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬
Akane 2022.01.16
誰でも

1月も2週間が過ぎ、すっかりいつもの日常になってきました。皆さんはいかがお過ごしでしょうか?

早起きは苦手ですが、時折、モーニングを食べにでかけます。朝はいつもよりちょっと静かで、友人とふたり、ぼんやりと外を眺めていました。こういう時間は取りに行かないと取れないので、結構貴重です。

モーニングを共にした友人は大学時代に出会い、不思議と偶然や共通項が多く、付かず離れずゆるやかな関係が未来も想像できる仲です。出会ったきっかけはあまり思い出せないけれど、そういう人って、案外長い付き合いになっていたりしませんかね?👀

チーズトーストにカマンベールを入れようと考えた人すてき...🥪

チーズトーストにカマンベールを入れようと考えた人すてき...🥪

さて、今回のテーマは「本のお告げ」です。

私はたまたま手にとった本で「偶然」や「共通項」を見つけると、勝手に背中を押されている気分になり、行動を起こすことがあります。単純ですが、結構そういうノリがきっかけで拓けてくることもあるような気もするのです。「お告げ」というと仰々しいかもしれませんが、読んだ本がきっかけで、何か思うところがでてきたら、それは「ススメ」の合図かもしれません😎

***

名画座に行くがよい

最近「偶然」が起きた本は、原田マハさんの『キネマの神様』です。

1月1日から映画館でレイトショーを見に行き、「やっぱり映画館っていいなぁ」なんて思っていたところに、本棚の未読ゾーンで目に入ったのがこの本でした。

『キネマの神様』は、ともに大の映画好きの主人公と父が映画愛で思わぬ奇跡を巻き起こす物語。

複合映画館の設立に尽力するも会社を追われて無職となった歩と昔から借金と競馬で家族を困らせてきた父のゴウ。ひょんなことから歩は映画評論に定評のある中小映画雑誌出版社で働くことに、ゴウはその雑誌の専属ライターに抜擢されます。ある時、ゴウの書いた映画評論にひとつのコメントがついたことから事態は予想だにしない方向へ!

歩とゴウ、コメントを残した謎の人物、名画座を運営するゴウの友人、出版社の仲間、かつて歩が働いていた会社の人たち...映画をめぐる人々の思いが交差して、涙腺を緩めた回数は一度じゃないです。特に後半と終盤、油断してはいけません。

生粋の映画人の親子が軸に回る物語なので、物語の中には映画の名前がたくさん!気にも留めていなかった映画がどんどん魅力的に思えてくるのだから改めて「好きなものは好きなんだ」が溢れている人の言葉って強いよなぁ、と思うのでした。

大学生の頃はお金に余裕がなかったので本は古本屋さん、映画はリバイバルの映画館にお世話になっていました。リバイバルの映画館とは、昔の旧作映画を上映する映画館でだいたい千円ちょっとで2本見られるんです。しかも、映画館がテーマを組んで特集したり、独自の企画を打ったりと、工夫がたくさん。さらには時間に余裕のある学生にとっては空いている平日の昼間に行き放題。ということで、授業の合間に1人で入り浸っていたのでした。

私は読みながら「あれ、もしかして...」と気づいていったのですが、その入り浸っていたリバイバルの映画館こそ、偶然にも『キネマの神様』でキーとなる名画座のモデルとなった場所だったようです。

ところで、ここ2年ほど、映画館にとっても難しい状況が続いています。『キネマの神様』は10年以上前の作品ですが、物語の中でもゴウの友人の名画座が存続の危機にさらされます。ふと、今と状況が重なり、映画館はどうなっているのだろうか、と思い調べてみると、ここでは内容は割愛しますが色々なことが分かりました。

本を読みながら、情景がどんどん思い出されて、しばらく足を運んでいなかったけれど久しぶりに行ってこようと思いました。冒頭の「お告げ」じゃないですけれど、そこに行ったらなにかが起きそうな気がしています。

***

キューバに行くがよい

『キネマの神様』の中で、父・ゴウが一番初めに書いた評論は「フィールド・オブ・ドリームス」という映画についてでした。これは「謎の人物からのコメント」のきっかけとなる評論でもあり物語の中でもキーとなる一作。この作品を「好きな映画」としてあげているのが芸人・オードリーの若林正恭さんです。

次は、そんな若林さんの書いたキューバの紀行文『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』をご紹介します。

海外旅行など、今はなんだか遠い世界のようですが、当時、5日間の夏休みが決まった若林さんは、かねてから行きたいと思っていたキューバ旅行に思いを馳せます。しかし、旅行代理店に出向くもキューバ行きの飛行機が満席とのことでがっくり。諦めきれず喫茶店で自分で検索をしていると、なんと偶然にも羽田からハバナまでの往復チケットの空席が1席だけあったのです。

何者かに「行け!」と言われているような気がした。
p.20

単刀直入に言うと、この紀行文は、とても面白い。紹介しているのだからもちろん面白いと思ったものを選んではきているのだけれど、若林さんの綴る飾り気のない本文はもちろんのこと、カラーも含めた写真が何ページもあり追体験しやすいのもポイント。キューバって正直なところそこまでイメージを持っていなかった国だけれど、急に親近感が湧きます。

そして、突然、ハッとする言葉がザクザク登場するのも見逃せない。若林さんが見ている世界や気づきのポイントも興味深く、ついついページの折り目がいっぱいになりました。

写真のページが結構多いのも特徴。

写真のページが結構多いのも特徴。

パラパラと読み返していたら結構時間が経ってしまった、もう一度読みたい紀行文。しばらく旅には行けないけれど、この感じだと、海外旅行が普通にできるようになったら、第一候補はキューバかしら。何かが起こるかもしれない。

ちなみに、私がこの本で好きな一文がこちら。旅に出かける前の家庭教師の先生とのやりとりです。(当時若林さんはニュースの理解と素朴な疑問の解決のために家庭教師をつけていたそうです。それも面白い)

「先生、知ることは動揺を鎮めるね!」
「若林さん、学ぶことの意味はほとんどそれです」
p.35
***

ということで、今週はこんなところで👋
引き続き体調にはお気をつけて、温かくして過ごしましょう〜!

▼いつも感想や励ましのメッセージありがとうございます。とても励みになっていますので、気軽に送ってください😌

無料で「拝啓、読書家様」をメールでお届けします。コンテンツを見逃さず、読者限定記事も受け取れます。

すでに登録済みの方は こちら