#38 意味がなくても読む意味がある

だから何度も読むんだ。

【目次】
1. 手土産はアフタヌーンティーのあとに/『きみは赤ちゃん』
2. 意味がなくても読む意味がある/『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』
3. お知らせ
Akane 2021.11.14
誰でも

こんにちは。最近はちょっと仕事が立て込んで、目をこすりながら仕事をする日々が続いていました。そういう時こそ、遠くを見る、空気を吸う。ちょっとでも余裕を持ちたいと思う今日この頃です。みなさんはいかがお過ごしですか?

立て込んだ日々が終わったあと、出産前の友達と2年ぶりにアフタヌーンティーへいってきました。古内一絵さんの『最高のアフタヌーンティーの作り方』を読んだばかりだったというのもあって、ちょっとだけ知識もついて、裏側のことも想像でき、より楽しめたような気がしています。

手土産はアフタヌーンティーのあとに

出産を控えたお友達に何か手土産を持って行こうと思っていたんですが、妊婦さんは食べられないものなどあって心配なので、今回は得意分野(?)の本でいくことに。

調べるとホテルの近くに本屋さんが。少し早めに到着した私は目当ての本を探します。少し前の本なのですぐには見つけられず、出版社を検索します。(本の並びは出版社別だった)「文春文庫、文春文庫...」と棚を見まわし、「か、か、か、」と頭の中で唱えながら作者を探し、無事に発見。

ちなみにちょっと話は飛びますが、文庫本の陳列が出版社別から著者順になっている本屋さんが増えているのだそう。出版社で覚えている人はあんまりいないだろうから、お客さん的には探しやすくなった反面、運営的には色々な負担もあるみたいです。

mizuho furuhata
@mie_furu
”約10年間勤務している男性店員は「(並べ方を変えて)お客さまからの問い合わせが少なくなった。以前は探しにくかったのだと思う」と分析する。本を探す客が新聞の切り抜きを持って来た時、著者名は分かるが、出版社が分からないことが多く、著者順の棚で助かったという”

yama.minato-yamaguchi.co.jp/e-yama/article…
文庫本陳列、出版社順から著者順へ県内も増/客は探しやすく店の管理は手間 「東野圭吾の本はどこにありますか」―。近年、書店で文庫本の陳列を出版社順から著者順に変える動きが進んでいる。... yama.minato-yamaguchi.co.jp
2021/11/11 06:41
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前置きが長くなってしまった。

私が探していた本は、芥川賞作家・川上未映子さんの妊娠・出産エッセイ「きみは赤ちゃん」。

「私はこうだった」という内容をまっすぐ、心のままに書き出したような一冊です。妊娠・出産というのは個人的な世界かつ人によって全然違いそうな体験なので、それを「人に読まれるために書く」というのは、とても高度な心の持ちようと筆力が必要だろうなと思いました。

でも、そこはさすが作家・川上未映子さん。私は自分が川上さんになったような気持ちで川上さんの心の乱高下にアセアセし、一緒に「きみ」の登場を待ち望み、時には、じーんと眼を細めるようにして読みました。(ちなみに川上さんは同じく芥川賞作家の阿部和重とご夫婦です)

帰りがけ、出産までの少し余裕がある時間に読んで、と手渡すと、「本をもらったのって、いつぶりだろう」というキョトンとした顔で言った友達の言葉が、なんだか嬉しかったです☺️

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意味がなくても読む意味がある

私は社会人のキャリアを技術職から始めているので、家には技術書がたくさんあります。その中には「10日でわかるーー」や「やさしい××」という本もあって、タイトル通りのことを期待して読みはじめるのですが、「そんな風にすぐに身になるものだったらどんなにいいことか、、」と読み終わる頃には思うのです。

1回読んだだけでは、覚えられないし、頭やカラダにストンと落ちてこない。小説とかでもなんとなく読んだ気持ちの感覚だけ残っているだけで細かい部分はすぐに忘れてしまう。

「どんなに為になることや良いこと書かれていても忘れてしまうのなら、読んでも意味ないじゃん」という見方もあるけれど、逆に、「本だったらいいのではないか」と思うのです。

良し悪しではなくて、本の言葉は「残るもの」で、話す言葉は「見えなくなるもの」。で、忘れてしまうんだけど、ものとして残っているのだからもう一度開けばいい。もう一度見て、また忘れて、また戻って、って。そういう風にして「意味がない」と思っていたことを重ねて「意味を見出して行く」。そんな風に使える気がしていています。

少し前の話になりますが、ちょっとだけ理不尽だなぁ、と思うことがありました。

『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』 p.4

『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』 p.4

その時に、たまたまKindleで見つけて買ったのが『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』でした。

この気軽な感じの見た目通り、気軽に読める一冊で、初回読んだときは、パラパラと見てパタンと閉じました。時間にして10分15分ほど。内容は「確かにそうだな」ということで、目新しいというわけではないんです。でも、その一瞬納得して「大丈夫」な気持ちになる。そしてしばらく経って忘れていきます。

でも、またちょっと気にかかることがあった時に、この本のことを思い出て、またパラパラっと開いてみる。そして、「ああ、そうだ、確かにそんなこと書いてあったね」となる。

そのうちに気がつきます。あ、多分、「大丈夫」って重ねることに意味があるのかも、って思ったんですね。

読んだ瞬間に大きな意味を持たなくても、読み重ねることで意味を持つ本。こういった本に限らず、小説や他の本でもきっとある気がします。

技術書も、「10日くらいで分かるもんかー!」とか言いながら、その時は分からなくても、何度も何度も読み返して、自分の中に少しずつ意味を見出しているから、いまも本棚にあるんだな。多分。

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お知らせ

①第3回"読むしかできない"イベント開催(2022/1/8〜1/9)

「本がたくさん置いてある広い部屋で、1時間1人で、ただ読むだけ。入場料は次の枠の人への選書1冊、お土産は前の枠の人からの選書1冊」というイベントを開催しています。(前回のイベント案内はこちら

おかげさまで初回・2回目ともに満席御礼で楽しんでいただけたようでしたので、第3回を開催することになりました。募集は12月初旬頃、SNSより先にレターを購読くださっている方よりご案内していきます。

開催予定日は、1/8(土)、1/9(日)です。(前回同様、前後の日程で設営ご支援も、郵送での選書枠も募集予定)

②「読むしかできないブックショルダー」クラウドファンディングを行います(11/18〜12/19)

ブックショルダーに興味を持ってくださる方が増えたことをきっかけにチームを組み、欲しいと思った方にお届けできるようクラウドファンディングを行うことになりました。来週、11/18(木)からです。

クラウドファンディング を選んだ理由は、鞄の詳細や、鞄づくりの裏側やこだわったことなどの情報を伝えられるページが作れるからです。

ブックショルダー用の型を作ってもらって裁断し、ひとつひとつ丁寧に縫製していきます。

ブックショルダー用の型を作ってもらって裁断し、ひとつひとつ丁寧に縫製していきます。

素材や設計に色々と工夫を費やし、ひとつひとつ職人さんの手で作られる、とっておきの鞄です。ご興味がある方は是非始まったらご覧いただけますと嬉しいです。


ということで、今週はこんなところで👋
ニットもそろそろ厚手投入のタイミングでしょうか。どうぞ温かくして体調に気をつけてお過ごしくださいませ。

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