#148 「その本、うちの他のお客さんからも"ええ"って感想もらいますわ」

という本を読んで、私も「ええ」って感想を本屋さんとみんなに伝えたい。
Akane 2024.02.11
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今週は三連休ですね!引きこもり系の私は相変わらず近場で過ごしておりますが、どこかにお出かけしましたか?

ここのところ、なんだか忙しないレターを送っていて申し訳なかったのですが、おかげさまで、ついに仕事ややらねばならぬことたちが落ち着き山場を越えました。

ずっとそのままになっていたネイルを施し、手袋の毛玉を取り、目覚ましのセットを2時間後ろ倒しし、そしてお菓子を作る時間が持て、夜の読書時間が取れるようになってきたんです...!

レターのマシュマロで応援のメッセージをたくさんいただいて恐縮と思いつつ、かなり励まされていたの事実...ありがとうございました🥲

レターのマシュマロで応援のメッセージをたくさんいただいて恐縮と思いつつ、かなり励まされていたの事実...ありがとうございました🥲

そういえば、あの日が近い。

さて、気がつけばもうそろそろバレンタインです。バレンタインというと、私はレターのことを思い出すのですが、それは、初めてレターを書いたのがバレンタインデーで、チョコレートをテーマに選書をしていたからです。おかげさまでこのレターも3周年です。

当時紹介していたのは、この三冊。

選挙で勝った"健全健康党"が、なんとチョコレート禁止法を発令!自由と正義とチョコレートを求めて、チョコレートの密売組織を作った主人公たちの革命の物語、『チョコレートアンダーグラウンド』(訳者は『月と六ペンス』などで知られる金原瑞人さん)。

中学生たちの瑞々しい3つの短編が詰まった森絵都さんの『アーモンド入りチョコレートのワルツ♪』。爽やかで、でもちょっとだけ謎っぽくて、興味深いのに気軽に読める作品。「今読む!」と言うわけでなくても置いておいて読みたくなる時期が来そうな気がします。

お芝居のオーディションを舞台に才能たちのぶつかり合いが刺激的な作品、恩田陸さんの『チョコレートコスモス』。『ガラスの仮面』にインスパイアされたと言われていて、それだけでそそりませんか...! 三部構想と言われていたけれど連載雑誌が廃刊なって未完となった作品の1巻ですが、1巻だけでもかなり楽しめるので個人的にはおすすめです!(ただきっともう刊行されないであろう2巻への期待がもくもくしてしまうことが難点... )


今週は、私の久々の読書復帰戦と言いますか、そんな時に読んでいた本が、自分にとってなんだかすごく驚きがあって、小説じゃないんだけど涙が出そうになって、新しい「いい」の種類を教えてくれたような本をご紹介します。

***

突然なんですけれど、変な質問していいですか?

「この世界で自分だけ違う人間な気がして、生きている今から離れたい。息がしにくい」

「本当に、生きることって"いいこと"なんだろうか?」

「でも、そんなこと言ったら、周りにいてくれる人たちに失礼な気がして、言えない」

「特に何があったわけじゃないけど不安。いいことや楽しいことの後にはバチが当たりそうな気がする」


人生でそんなふうに思ったことって、ありますか?


私はというと、多分そこまで強く思ったことはないんですが、いいことがあると喜ぶ前に「この反動であとで罰当たりそうだな」とか思ってしまうところはあります。別に何も悪いこともしてないのに。(ちなみに「自責」を通り越して「自罰的」と表現されていた)

そんな、もしかしたら誰しもがカケラくらいは持っている「生きていて感じる違和感」と、「生きる意味」を探りに行く一冊に出会ったのは、それなりに忙しい時期でした。

街灯りとして本屋があるような街で暮らしたい

街灯りとして本屋があるような街で暮らしたい

どんなにやることがあっても、仕事が進まない。詰まってどうしようもなくて、気分転換も含めて出かけた先は本屋でした。多分、コーヒーが好きな人がカフェに落ち着きにいくように、私にとって行きつけの本屋さんが「サードプレイス」だったんだと思います。

12月から受け取りに行けていない本を取りに行こう。そして、積読はあるけれど、今の気持ちに寄り添う本があれば買おう。そんな気持ちを携えて電車に乗り込みます。


その日買った本は、刊行されたタイミングから気になっていました。けれど、なんか、ちょっと重そうな気がして、手を出せずにいたんですよね。

帯にはこう書いてあります。

「楽しい」や「嬉しい」という感情は味わえるのに、どうして「死にたい」と思うんだろう?カウンセラーとの対話を通してままならない自己を見つめた記録。

タイトルに含まれた「死」という言葉が、なんだが怖い気がして手が出なかった。私は、明るい気持ちになりたいのだ、と。

ただ、何故かこの本屋さんに駆け込んだ日はその表紙の「生きる」という文字の方がピカーンって光って見えて、「今これな気がする」と思ったのでした。

関西弁の気心知れた店主さんも、「その本、うちの他のお客さんからも"ええ"って感想もらいますわ」と。はい、買う。(その時買わなくても何度も目に入る本は、だいたい自分に合っているというのは、経験則からもあった)

その本がこちら。

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