#216 小説を読んで病院に行くことにした話。
・読んで病院に行くことにした、『富士山』
今週は日によって「半袖でもいいかも」と思うような陽気の日が増えてきました。季節の変わり目、体調など崩されていませんか? 私はというと、あれこれ決めごとが多くてバタバタしていますが、おかげさまで元気です。
先日、お友達の家に招いてもらってとびきり美味しいごはんをご馳走になりました。
タコのアヒージョがぐつぐつしていたスキレットを見て、「あ、これ、母からもらったけれど使いこなせず実家に戻っていったやつだ…」と思い出しつつ、私は料理が得意ではないので、「こんなふうに人をもてなせる人になれたらなぁ」と羨ましい気持ちに。

母も姉も料理好きで得意なのに、私はどうも「こなす」だけで精一杯。結果、同じメニューをぐるぐる繰り返しています。でも、作る時間そのものは嫌いじゃないし、器も好き。「ごはんの時間」も一人でも誰かとでも大事にしたいなと思っているのは今も昔も変わりません。
そんな気持ちもあって、自炊料理家の山口祐加さんの『自分のために料理を作る - 自炊からはじまる「ケア」の話』を読んだのは、2023年の夏のことでした。この本は、「自炊ができない」人々の日々を追いかけた料理実践ドキュメンタリー。「自炊ができない」人たちの言葉が分かりすぎる…
結果的に、二年後の今、残念ながらまだ私は壁を越えられていません。なるべく簡単に調理ができる機器類を家に導入したり、便利なサービスを使ってみたりしたけれど、三歩進んで二歩下がるといったところ。
そこにやってきたのが、この春刊行された『自炊の壁』です。この本は山口祐加さんと『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』がベストセラーとなり、26カ国に翻訳されているミニマリストの佐々木典士さんとの共著で、タイトル通り、自炊の壁を超えていくための方法論が書かれています。

今は積読として積まれているので紹介ができるわけじゃないんですが、すでに2刷になっていて注目の一冊。私にも、また壁を越えに行けるチャンスがありそうです🍳
さて、前置きが長くなりましたが、今日は最近読んだ短編がとっても良かったので純粋に紹介したいと思って今日は書いています。
小説を読んで病院に行くことにした話
突然、不穏な章タイトルで恐縮ですが、先にお伝えすると、冒頭の通り私は元気です。予防のために検診に行くという話なんですが、背中を押したのは、健康関連の本でもなんでもなく、平野啓一郎さんの『富士山』でした。この作品集は、「もし、あのとき違う選択をしていたら?」という人生の分岐点がテーマになっています。
なんで小説を読んで病院に行くことにしたかというのは、後で話すんですが、この短編は、今年に入って個人的には「一番」だと思いました。どう一番なのかというと、ちょっと表現が難しいんですが…