#217 ✈︎ 本屋を巡る1.5人旅。 - 本と、パンと、コーヒーと。-
・ぎゅっっっっと詰まった選書が魅力、本灯社
・まちの居場所としての本屋 文喫 福岡天神
・品揃え抜群、広い!なんでもある!! 丸善 博多店
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・最後にもうひとつ、今、読みたい文章「渡されなかった本について」
梅雨が始まり、雨模様の日も多い1週間でしたが、いかがお過ごしでしたか? 私は今週、福岡へ。仕事もしつつ、お目当ての本屋さんとパン屋さんを巡ってまいりました。
今日はそんな旅先からの手紙を失礼します✈︎

家が大好きな引きこもり気質の心配性としては、珍しく久々に飛行機に乗ることになったので、1時間半前に空港に到着して、空港内ラウンジへ。時間がもったいない!なんてことはないのは、私たちには本があって、待ち時間を読書時間に変えることができるから。
ということで、ゆっくりと本を読み、仕事仲間と合流して余裕を持って搭乗。飛行機は空と映画を観ていたので読書はせずでしたが、1日目は仕事でホテルこもり。時折、持参した本を片手にベッドにごろり。場所が変わっても自分の暮らしの変わらなさ...
2日目からは目的の本屋さんとパン屋さんを巡ることに。あいにくの雨だったので、諦めたところも多かったのですが、まずはモーニング。住宅街の中に突然ある、素敵なお店は渡辺通駅にある「soel」さん。めちゃくちゃよかったのでぜひ福岡へ行く方はチェックしてみていただきたい!

オープンキッチンのナチュラルな雰囲気で女性のお客さんが多かったけれど、海外の方も、おひとりでいらしている方もいました。
軽やかな気分になる美味しいモーニングで満腹になり元気をいただいたのちは、雨も止んできたので歩いてお散歩がてら20分ほど。着いたのは、「ごはんとおやつ、雑貨の店 くらすこと」さん。
ただ、お目当ては、くらすことさんが併設している本屋「本灯社」さんです。
ぎゅっっっっと詰まった選書が魅力、本灯社
カフェと並んでいて、一般的な本屋さんと比べるとそこまで広くはないものの、ぎゅっと凝縮された興味深い選書ラインナップでずっとぐるぐる買う本を悩んでしまいました。

※店内は許可を得て撮影しています📸
今度じっくりご紹介したいと思っているのですが、ここでは「推しの並び」である表紙面で陳列されて、
この本を燃やしなさい。読みおえたら。
という言葉が書かれたPOPにグッと心掴まれて買って、オノ・ヨーコの『グレープフルーツ・ジュース』を買いました。めちゃくちゃかっこいい本。

自分だと辿り着かなかったし、仮にネットで見つけても買ってなかったような気がします。そこにスタッフさんの熱量のあるPOPがあって、手に取ってぱらりと開いてみて「あ、これは持ち帰るやつだ」という刺激が走って...というたまにあるやつです。
まちの居場所としての本屋 文喫 福岡天神
そのあとは雨が降ってきたので、バスに乗ってお次のお目当て「文喫 福岡天神」さんへ。
「文喫」は、「本と出会うための本屋」として2018年に東京・六本木に初めてできた、入場料のある滞在型の本屋さん。無料の本屋スペースと有料の閲覧&カフェスペースがあって、書籍数は3万冊。
昨年に名古屋・栄に、そしてこの秋に東京・高輪ゲートウェイに新店ができますが、福岡天神の文喫さんは2021年にリブロ福岡天神店の跡地にオープンした2店舗目の文喫。(ちなみに六本木店も青山ブックセンターの跡地)

手前が本屋・雑貨・展示スペース。奥は有料エリアの閲覧室。
小さなお子さんを連れて児童室に入る家族や、中にあるワークショップルームに集まる方々、喫茶エリアでお話を楽しむ人、お話NGエリアで黙々とPCに向かう働く人、そして私のように本を読みにきた人。
不思議と幅広い層が同じ場所にいて違うことをしている、ちいさなまちみたいな場所だなぁと思いました。たまたま文喫さんの中で「あら!」と知り合いに会ったような挨拶をしていた人も見かけて、なるほど、そういう場所なのだと、ほっこり気分。(もちろん、私たちのような遠くから来ている人も歓迎してくれる)
滞在時間2時間ギリギリ十分に楽しんで、読もうと思ったけれど読めなかった本を買って後ろ髪引かれる思いでホテルに戻りました。
買った本は、宮下奈都さんの『静かな雨』と、装丁と本の作りがめちゃくちゃ美しい、柏書房から出ているアンソロジー『夕暮れの草の冠』の2冊。

『静かな雨』は、あらすじも見ずに本として佇まいがきれいでつい買っちゃったのですが、後からあらすじを調べたらこんな感じでした。
会社が潰れた日、パチンコ屋の裏の駐車場でやたらと美味しいたいやき屋を見つけた主人公が、店主のこよみさんと出会うも、こよみさんは交通事故の後遺症で短期間の記憶しか持てなくなってしまう...というもの。
「小説的」とも言えるあらすじを、繊細な心の動きを水分たっぷりのみずみずしい言葉たちで描くのが得意な宮下奈都さんがどう表現していくのかが楽しみです!
品揃え抜群、広い!なんでもある!! 丸善 博多店

かけてもらったカバーが可愛かった...!
あっという間に帰りの時間。博多駅から空港まで近いので、最後は博多駅の丸善博多店さんへ。行きつけの本屋さんの店主さんからも「品揃えが良くていい本屋さん!」と教えてもらっていたので足を運んでみると...
広い...! そして、本当に「あの本...」と思っていた本、全部ある、という感じ。専門書ラインナップもすごくて、これは仕事で本を探している人やちょっと深く潜りたい知識欲旺盛な読書家さんにはものすごく刺さりそうです。加えて、歩いているだけで情報の宝庫すぎて、あれもこれもと知りたい気持ちに火がつきます🔥
すでに本とパンで予備に持ってきていたカバンすらもいっぱいになっていたので、ここは1冊で我慢。ちなみに買ったのは、今映画上映中で話題の吉田修一さんの『国宝』の下巻。上巻読了後、なかなか本屋さんに行けずに「なんで下巻買っておかなかったんだーー」と後悔の嵐していたところ、ようやくゲットです。原作を読んだ本は映画をあまり観ないのですが、これはぜひ映像で見たいと思いました。
「吉田修一さんご自身が、三年間歌舞伎の黒衣を纏い、楽屋に入った経験を血肉にして書き上げた渾身作」という、その紹介の言葉をまじまじと感じられる作品です...!(まだ読み途中だけども)
🍞 終わりに:パンの話。
本のレターと称しているので、パンのことは控えめにしておこうと思うのですが、福岡、パンレベルめちゃくちゃ高く、人気店は行列がすごい!
福岡に来たからには明太フランスか...!?と思い、パンマニアの友達から教えてもらった「パンストック」さんへ。本店はめちゃくちゃ混んでいるとのことだけど、私が訪れた天神店もすごかった...(でも意外と行列の動きは早いので並ぶのは全然アリかと!)

その他、築60年の集合アトリエ「リノベーションミュージアム冷泉荘」の中にあるカフェ&ベーグルの「リルベーグル」さん、明太フランスで有名な「Full Full パンとワイン」さん、食パンが有名だけど製造追いつかないと言われている明太フランスも美味しい「パン屋むつか堂」さんなどを巡り、本とパンで帰りは激重荷物となって帰って行ったのでした。(そして冷凍庫がパンでいっぱいに)
ということで、今日は本の紹介というほどでもない感じですが、本屋を巡る旅の話でした。
ところで、今回のタイトルにある「1.5人旅」というのは、仕事兼の本屋巡りの旅だったのですが、仕事仲間とは本屋に行くとすぐ解散、ホテルに戻るとすぐ解散、移動とごはんは存分に一緒に楽しみながら買った本を紹介し合うような、「ずっとは一緒にいないスタイル」だったので1.5人旅と名付けました。
本屋を巡る旅は、本と向き合う余白があるのも結構いいものです✌️
そして、最後にもうひとつ。(長くなってきてすみません、これで最後!)少しだけ読んでもらいたい文章があったので紹介します。
今、読みたい文章
「客注」という、いわゆる本屋さんに頼む「お取り寄せ」は、この記事に記載の通り「その人のために本屋さんが先払いで取り寄せる」もの。でも、必ずしても取りにきてもらえるわけではない──という話が書かれていました。渡されなかった本やそれを待つ本屋の店主さんの気持ちを思うと、なんだか心が痛かった。
あと2週間もしたら、2025年も半分が過ぎます。雨はそんなに得意じゃないけれど、家の中で聴くその音は結構好きで、そんな夜や週末があったら、残りの今年をもっと楽しめるように、ちょっと紙に書き出しながら振り返りをしたいなと思っています✍️
パッと晴れやかな夏までもう少しですが、気温が急に上がると体調を壊しやすいので、季節の変わり目にはどうぞお気をつけて...!(私も自分によく気を配って過ごしたい)
それでは、また!
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