#52 掘り出し本、彗星の如し。

たまに、思わぬところで出会ってしまう。

【目次】
・掘り出し本、彗星の如し。/『金の角持つ子どもたち』
・それが言いたかったのだ/『世界音痴』
・探しています&教えてください
Akane 2022.02.27
誰でも

今月も、もうそろそろ終わり。あっという間ですね!

2月は和風月名で「如月(きさらぎ)」ですが、「衣更着」とも書くんです。衣を重ねて着るような季節って、洒落た言い方ですよね。皆様にとって今月はどんな月でしたか?

2月と言えば、受験シーズンでもあります。私は最近、学びたいことがあって、来年、学校に行こうかと思い始めているところです。

袋に書かれた文章に背筋がピンとする思いになります。。

袋に書かれた文章に背筋がピンとする思いになります。。

そんな時に見つけた"受験小説"が「掘り出し本」でした。これは是非レターでお伝えしたい...!と思った一冊なので、早速ご紹介にまいります。

今週もどうぞ、ゆるやかにお付き合いください🙂

***

掘り出し本、彗星の如し。

その、「掘り出し本」は『金の角持つ子どもたち』といいます。中学受験をテーマにしていて、登場人物たちが葛藤しながら、もがきながら、挑み続ける姿を鮮やかに描いた物語。

藤岡陽子さんという作家さんを知ったのは、この本がはじめてでした。新聞社を経て、看護師であり小説家でもある異色のキャリアの持ち主で、スッと引っかかるところなく入っていく居心地の良い文章を書かれる作家さんです。

物語は、受験生の母である菜月の章、受験の張本人・俊介の章、塾の加地先生の章の三部構成になっています。

小六になる俊介は、ある挫折を機に中学受験をしようと決意します。しかし、戸田家には正直、高額な費用のかかる塾に通わせる余裕がありません。家の理由で進学を諦めた経験のある菜月は、受験を決意した理由は言えないが挑戦したい俊介の意向を大事にしたいけれど、色々な課題が浮上して...というところから始まっていきます。

田舎で小中高「いちばん近くの学校へ行く」という基準で生きてきた私には知らない世界で、なんとなく「小学生から受験なんて大変だなぁ」とか、「受験戦争って言葉もあるくらいだし、ギスギスした世界の話なんだろうか」と思って読んでいたのですが、違うんです、キラキラして見えたんです。不思議なことに。なんだかスポーツ小説のような感覚すら覚えました。

個人的には、受験する当の本人である俊介の話を第一章に持ってきそうなところを、母・菜月の章から始めたところが、この物語の面白さのポイントになっている気がしました。また、物語を盛り上げてくれたのは、三章にメインで登場する塾講師・加地先生の存在。脇を固める登場人物に魅力があると、小説ってグッと面白くなりますよね...!

中学受験をテーマにした小説には朝比奈あすかさんの『翼の翼』という本があるのですが、こちらは過熱する親側の心情の話で、少し重めで読み応えはすごそうです。

今、私は自分自身も、周りも「大人の過渡期」を迎えている人が多くて、なんか前を向いて走っていけるような本を探していたので、『金の〜』を選んだのですが、思った以上にいい出会いになりました。(2022年の10冊候補!)

グッと涙をこらえる(or勝手に落ちてしまう)シーンがそこそこふいに登場しますので電車の中ではご注意を🚃

だいたい狙ってない時の方がいいものに出会うんですよね。このレターでも、そんな偶然を引き続きお届けしていきたいなと思っています☺️

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それが言いたかったのだ

思わぬ出会いといえば、この本です。この本も、気軽に読んだら手放せなくなった一冊。一度見たら忘れられないタイトル、『世界音痴』。歌人の穂村弘さんのエッセイです。

挟まっていたしおりが空気を読んだように合っていたので一緒にパシャリ📷

挟まっていたしおりが空気を読んだように合っていたので一緒にパシャリ📷

「運動音痴」「方向音痴」「機械音痴」などという言葉もありますが、「世界音痴」とは...。私なりの解釈で言うと「この世界における自然な振る舞いが得意じゃないひと」です。そして、著者の穂村さんは、自分がそうだと言っています。

みんながナチュラルにできる、例えば「飲み会でサッと席替えする」とか「自然に話に加わる」とか「自然にトイレに行く」とかが、どうも不自然になる。と言ったような。


私にとって本を読むことの意味のひとつに、「自分では言語化できなかったソレ」を言葉として知ることができる、という点があります。

読書に何を求めるかは人それぞれなので、あくまで私の話なんですが、こう、日々の暮らしの中で、なんか心の中に湧いてくるんだけれど言語化できないことってたまにあるんです。それを、例えば小説の中の登場人物が言ってくれたり、エッセイで著者の方が書いてくれたりする。そうして、その時の感情を自分の中で消化できて、今度は伝えることができるようになるのです。

みなさんも、本を読んでいて、「そう!それが言いたかったの」って言う時ってありませんか👀?

エッセイとして完成度高く、つい吹き出しそうに面白い本なので、楽しい気分になりたい時にもオススメです。なんとなく、漫画でいうと『女の園の星』『夢中さ、きみに』などで知られる和山やまさんが好きな方とかは、楽しく読めるのではないかなと思います!

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ここからは人探しとアンケートにご協力いただければ幸いです🙇‍♀️

探しています&教えてください

【探しています】

先日、読書イベント「読むしかできない」の募集をさせて頂き、ありがたいことに満員御礼で25名の方がご参加くださることになりました!

その中で、郵送選書枠でお申し込みくださった方でアドレスが誤って入力されており、ご連絡がつかない状態の方が1名いらっしゃいます😭申し込んだものの、案内の連絡が来ないぞ、という方がもしいらっしゃいましたら、以下のアドレスまでご連絡いただけますと助かります🙇‍♀️

※追記:おかげさまでご連絡をいただけました!🙇‍♀️

【教えてください】

私自身、海外文学や純文学や歴史小説にあんまり詳しくなくて、あまりレターでもご紹介できていないなと思っていまして。せっかくの機会なのでそれぞれの分野で詳しい方に「あんまり読んでいない人向けに面白い本」をオススメされに行ってこようと思います!

ということで、もしよければ教えてください!

ここに配置されたボタンは、ニュースレター上でのみ押すことができます。
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それでは、今回はこんなところで👋

来週はもう3月になるんですね。季節の変わり目も近いので、どうぞお気をつけてお過ごしください!

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