#172 読書泊の記録 - 温泉街で本を読む -

ダンボールを持って、北陸へ読みに行く。
Akane 2024.07.28
読者限定

先週と変わらず暑い日が続いていますが、今週はいかがお過ごしでしたか?

私はというと、山場を抱えていたいくつかの仕事が落ち着いて少し胸を撫で下ろしているところです。やや落ち着きモードに入ってきたので、元同僚たちと一年ぶりに再会しました。同じ会社で同じような生活リズムでいたはずのみんなが、私も含めそれぞれの新しい暮らしのリズムを作っていて面白いなぁと思いながら、珍しいお酒を楽しみました🍸

山椒を使ったクラフトジンソーダが美味しかったです🍸

山椒を使ったクラフトジンソーダが美味しかったです🍸


少し慌ただしい時期に、随分前に図書館で予約をしていた本がばばばっと届きました。しばらく読めずにいたのだけれど、その中の一冊、古内一絵さんの『東京ハイダウェイ』が読みやすくて面白くて一気に読了。

今日のメインは読書泊の話ですが、先にちょっとこの本のご紹介をさせてもらえたらと!

『東京ハイダウェイ』は、『マカンマラン』シリーズで知られる古内一絵さんの最新作。東京・虎ノ門にあるeコマースモール企業を舞台の中心にした「隠れ家(ハイダウェイ)」にまつわる短編集です。

物語の始まりとなる1編目は、新卒で入って5年目の桐人が主役。倉庫勤務から念願のマーケティング部に移動しコツコツと自社モールに出店をする小規模店舗を支援する仕事に勤しむが、ある時、同期であり事業部の中心人物の直人からに「非効率なやり方で迷惑だ」と苦言を呈され衝突してしまう。その場に居られず外へ出て行くと、無口で控え目なシステム部の璃子を見かける。都会の真ん中をすり抜けるようにどこかへ向かっていく璃子の後をつけてみると、そこには...というお話。

ここを起点に、バリキャリ2児の母としてメディアにも登場する桐人たちの上司の恵理子や、「みんなとは違う」と女子会欠席中の恵理子の友人や、学校生活がうまくいかない高校生の物語などが続きます。

私のおすすめはバリキャリ2児の母・恵理子の物語、「森の方舟」。母、妻、上司など様々な役割に挟まれ我慢が重なりブチっときた恵理子。その時に取った行動とそこで見つけたものが注目の話なのですが、ブチっと来るまでの沸々と怒りが溜まっていく様子の描写が秀逸。

古内さんは「青春」「大人の女性へのエール」「戦争」の三つを主なテーマに執筆をされていると以前記事で読んだことがあったのだけど、面白いことにコロナ禍の後のIT企業を舞台にした『東京ハイダウェイ』でこの3つを感じることができるんです。戦争が招いた悲劇の話も考えさせられながら読みました。(会話の中など客観的な史実として出てくる程度なのできつい描写などはないので、苦手な人も安心して読めます)

テンポがよく気軽に読めつつも、登場人物の会話にハッとさせられるところも多い作品です。

「ちょっと」と言いつつ結構がっつり紹介してしまったのですが、ここからは話は飛んで、先日出かけた2泊3日の読書泊の記録にお付き合いくださいませ...📚(パッと流し読みもできるように写真多めでいきます!)

***

夏こそ籠って読書泊?

少し前に、夏の旅行として北陸新幹線に乗って石川県に2泊3日の読書泊に行ってまいりました。

旅バッグは読書泊トートです。

旅バッグは読書泊トートです。

今回泊まる旅館は、ブックホテルではなく純粋に美味しいご飯と温泉で選んだので、もちろん本もしっかり持参。

私が用意したのは吉田修一さんの『横道世之介』、臨床医の宮地尚子さんのエッセイ『傷を愛せるか』、小川和さんの『日常的な延命』、木内昇さんの『茗荷谷の猫』、それから読書泊先では積読になってしまったけれど先にご紹介した『東京ハイダウェイ』も持って行っていました。

遠出する時の読書泊では割とその土地に関連した本を選ぶことが多いけれど、せっかくまとまった時間となるので「落ち着いてゆったりとした気持ちで読みたい」と思っていた本を中心に持ってきました。今回は『東京ハイダウェイ』を除き、選んで贈ってもらった本ばかり✌️(感謝)

世之介が走っていそうな風景

世之介が走っていそうな風景

目的のお宿の駅に到着したのは14時。チェックインは15時からだったので、宿周辺をお散歩することに。温泉街で誰でも入れる足湯なんかもあり、気温37℃の中入ってみることに。(冬は大賑わいだそうですが、誰もいない)足湯は44℃ほどでめちゃくちゃ熱かったです。

足を拭いて、再び歩いていたら、おっきい本がありました。

ただ読むことが目的だったので周辺のことを調べていなかったのですが、どうやらここは私たちが本を読むときに使う「あいうえお」といった五十音図の発祥の地なんだか...!なんだか予定外に読書泊にぴったりな場所だった模様。

ところで、我が家の読書泊では、夫が毎回謎のダンボールを用意します。

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